創業以来30年以上にわたり、システム(基幹・業務・Web)構築、Web/DTPデザイン、ネットワーク・インフラ構築、運用保守から教育サポートまで展開しているピセ株式会社は、企業の成長を支えるITサービスをワンストップで提供し、豊富なノウハウを蓄積してきました。
名古屋支社では、大手企業の情報システム部門を支える技術者派遣・システム運用サポートを中心に事業を展開。企画・提案から設計・導入までを一貫して担う同社にとって、「数字の整合性」「管理基盤の強化」は、次の成長フェーズに進むための重要なテーマでした。
しかし、長年使われてきた独自開発システムの老朽化や、Excel併用による数値のズレ、予定原価の精度不足など、経営判断の根拠となる数字をそろえるうえで課題が顕在化していました。
そこで同社が選択したのが「プロカン」です。
今回は、導入プロジェクトを主導したITソリューショングループの翠(みす)友隆さんに、導入の背景やプロカンを選んだ理由、運用開始後に見えてきた変化と今後の期待について伺いました。
| 企業名 | ピセ株式会社 |
|---|---|
| 事業内容 | システム(基幹・業務・Web)構築、Web/DTPデザイン、ネットワーク・インフラ構築、運用保守から教育サポートなど |
導入前の課題
- 独自開発システムの老朽化と、Excel併用の運用に限界があった
- “参照すべき正しい数字(マスターデータ)”が複数に分散し判断しづらい構造だった
- 予定原価や収益予測がリアルタイムで把握できず、「未来の数字」が読めない
導入後の効果
- Excel依存が徐々に解消
- 標準化が進み、部門間の行き違いが減少
- 数字への意識が浸透し、経営判断に使うデータの精度が向上
導入前の課題は老朽化した独自システムと数字のズレ
プロカン導入前、どのような課題があったのでしょうか?
当社では2000年頃、当時の開発メンバーを集めて独自に開発したプロジェクト管理システムを長年使い続けていました。
その頃はシステム開発進行におけるプロジェクト制という考え方も目新しく、早めに取り入れたため長持ちしてしまった、という感覚です。
しかしそのシステムは 32bit 環境でしか動作しないなど、様々な面での限界に直面していました。そのため、旧システムで対応できない集計をExcelで補うという流れが常態化してしまい、「予定原価の精度が甘い」「営業が持つ数字と技術側の稼働情報が噛み合わない」「集計のたびに数字が揃わない」といった“数字のズレ”が日常的に起きていました。
こうしたズレが生じる根本原因は、参照すべき“マスターデータ”が一元化されていなかったことにありました。旧システム、Excelなど複数の管理場所が存在していたため、「どの数字が正なのか」を常に確認しなければならない状態だったのです。
導入当初は機能していたプロジェクト管理のルールが時間とともに形骸化してしまっている状況でした。
特に大きな問題は、“未来の収益予測が読めない” ことでした。
四半期の粗利見込みを算出するにも、必要な数字はExcelの中、リアルタイムで更新されず、集計にも膨大な手間がかかるなど、経営判断をするうえで、非常に不安定な状況でした。
こうした課題が積み重なり、「今こそシステムを変えよう」という代表の決断のもと、プロカン導入が動き出しました。
業界の標準化されたシステムだからこそフィットした
数あるシステムの中で、なぜプロカンを選ばれたのでしょうか?
最大の理由は、プロカンはいい意味で“やり方が決まっていた”ことです。
25年間、独自システムを使い続けてきた当社にとって、自由度の高すぎるシステムは、また同じような個別対応・属人化を生むリスクがあります。
「揺らがない正しい数字をつくる仕組み」「標準化された運用に乗せたい」という方針が強くありました。
その点、プロカンはマスターデータを中央で一元化し、全社が同じ情報を参照できる構造になっており、当社の課題を根本から解消できると感じました。
Excelは便利ですが、自由度が高すぎるがゆえに数字のブレが避けられません。プロカンは「業界標準に沿った必要十分な機能構成」、「できる/できないが明確で迷わない」といった特徴があり、標準フローに載せることで運用負荷が激減すると判断しました。
さらにUIの見やすさも導入の大きな決め手になりました。技術側のマネージャー層から説明を始めましたが、理解も早く、社内浸透がスムーズでした。
丁寧な説明と段階移行で全社に浸透
導入はどのように進められたのでしょうか?
当社は旧システムとの並行運用期間を長めに取りました。その代わり、“浸透”には徹底的にこだわり、社内向けの独自マニュアルの制作にも時間をかけてきました。
今週も予定しているのですが、オンラインで実施する全社説明会で新しい運用ルールについて背景から丁寧に共有します。そうした取り組みのおかげで、長年依存してきた旧システムやExcel管理から、“プロカンで数字を揃える”という意識が徐々に社内に根づいていった実感があります。
振り返ると、もっと早く踏み切ってもよかったと思う部分もあります。現場は、必要だとなればこちらが思っている以上に動いてくれるんですよ。やらなければならない状況になれば、ちゃんと対応してくれる。だから正直、もう1年早く“えいや”で切り替えてしまってもよかったと今は感じています。
結果的に得られた効果のほうが大きかったので、「迷うより動いた方が早い」というのが今の正直な感想です。
正しい数字が“これから”価値を生むフェーズへ
導入後の変化について教えてください。
プロカン導入の目的であった、予定原価・稼働予定・粗利見込みといった“未来の数字”の可視化は、着実に進み始めています。
現在はまだ「運用ルールを固め、基盤を育てていくフェーズ」ですが、ここからさらに、数字の精度やスピードが業務全体に波及し、成果が見え始める段階へ移っていくと考えています。Excel依存が解消されれば、最終的には工数50%削減も十分可能で、社員の負担軽減にも寄与すると見込んでいます。
部門を越えて“数字の意識”が浸透
副次効果はありましたか?
大きな変化は、各部門で「数字に対する意識」が組織に根づいたことです。
これまでは売上数値だけが独り歩きし、技術部門と営業部門で入力する数字が異なる、案件終了時に数字が揃わない、といった問題がありました。しかしプロカン導入により、稼働・原価・粗利がプロジェクト単位で見えるようになり、現場の理解度が大きく向上しました。
数字を軸にした経営へ
今後の活用方針を教えてください。
直近の目標は、Excelを完全撤廃し、すべての数値管理をプロカンに一本化することです。
数字が一本化されることで、収益管理、経営判断がこれまで以上に正確かつスピード感を持って進められるようになることを期待しています。
プロカンをおすすめしたい企業像
どんな企業にプロカンはフィットすると思いますか?
数字を基盤に経営判断をしたい企業や、業界標準化を進めたい企業、成長フェーズに入り管理基盤を整えたい企業、こうした企業には非常に相性がよいと感じています。
プロカンは必要十分な機能が整理されており、運用負荷が重くないため、特に成長期の企業にとって強い味方になるシステムだと実感しています。