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Web制作会社の見積・請求・契約管理:PM/ディレクターが押さえるべきポイント

見積・請求・契約管理の重要性とは

Web制作会社において、プロジェクトを円滑に進行させるためには、見積・請求・契約といった事務的な工程も、デザインや開発と同様に重要です。特にPM(プロジェクトマネージャー)やディレクターは、対外的なやり取りの最前線に立つ立場として、これらの工程の正確性・迅速性・網羅性を担保しなければなりません。

見積書のミスによる原価割れ、請求漏れによる売上の機会損失、契約書の不備によるトラブル——これらはすべて、ビジネスの信用と収益を大きく揺るがす可能性があります。ではなぜ、これほどまでに見積・請求・契約の管理が煩雑になるのでしょうか?そして、それらをどう効率的に、かつ正確にこなしていけばよいのでしょうか。

本記事では、Web制作業界特有の構造と現場課題を踏まえながら、管理のポイントとその解決策を解説します。


Web制作会社における見積・請求・契約の特徴と複雑さ

Web制作プロジェクトは、受注内容が都度異なる「個別受注型ビジネス」であり、価格設定やスケジュール、契約条件も案件ごとに変動します。このため、定型的なフォーマットでは対応しきれないことが多く、下記のような特徴を持ちます。

  • 要件定義・ワイヤーフレーム作成・デザイン・コーディング・運用と工程が多段階
  • 工数見積が前提となるが、変更要望が多く、見積金額が変動しやすい
  • 請求は一括・分割・納品ベースなどパターンが多様
  • 契約形態も準委任契約・請負契約・保守契約など多岐にわたる
  • 外注先(デザイナー・エンジニア・カメラマン等)への支払いとセットで管理が必要

このように、工程が煩雑で柔軟性を求められる一方、トラブルを避けるためには、どの段階でも明確かつ整合性のある管理が求められます。特に、複数の案件を並行して管理するPM・ディレクターにとっては、人的記憶やExcelベースの管理では限界があります。


放置できない見積・請求・契約管理の課題とは

Web制作会社では、以下のような課題が頻繁に発生しています。

1. 見積管理の属人化とトラブル

PMごとの見積作成ルールが異なり、テンプレートが統一されていないことで、抜け漏れや過少見積もりが発生します。これにより、実際の工数や外注費に見合わない赤字案件が生まれることも。

2. 請求漏れ・遅延によるキャッシュフローの悪化

納品のタイミングが複雑で請求のトリガーを見落とすケース、複数回に分けた請求スケジュールの記録漏れなどが起きがちです。結果として売上計上漏れや入金遅れが発生し、経営的に重大な影響を及ぼします。

3. 契約管理の煩雑さと法務リスク

「契約書を誰が管理しているのか分からない」「メールのやり取りしか残っていない」など、契約管理が分散・曖昧になっている企業も少なくありません。不備が見つかったときには既に納品が完了しており、トラブルに発展する恐れもあります。

4. 工数変更時の見積・契約更新が後手に

仕様変更が発生した際、見積や契約の再締結が後手になり、工数増加分が請求に反映されないまま進行してしまうケースも散見されます。

これらの課題は、現場の負荷増大だけでなく、企業全体の信頼性や利益構造にも直結します。


業務を「見える化」し、一元管理するプロカンの活用

このような複雑な見積・請求・契約の業務を根本から改善するためには、属人性の排除とプロジェクト全体の一元管理が不可欠です。そこで注目されるのが、プロジェクト型ビジネスに特化したERP「プロカン」の導入です。

1. 見積テンプレートの標準化と自動化

プロカンでは、サービスカテゴリや工数、単価に応じたテンプレートを設定し、見積作成を標準化できます。また、過去案件の類似データを参照できるため、積算の精度が向上し、属人性の排除が可能に。

2. プロジェクト単位の請求ステータス管理

請求予定日や金額、入金ステータスを案件単位で一元管理できます。請求漏れや回収遅れを防ぐアラート機能も備わっており、PMの請求管理負荷を大幅に軽減します。

3. 契約書のファイル添付と履歴管理

案件ごとに契約書のドラフト・締結済ファイル・再契約履歴を一元的に管理でき、万が一のトラブル発生時にも即座に確認・対応が可能。SlackやChatworkのやりとりも記録として残すことができます。

4. 工数・原価の自動連携で再見積・契約更新もスムーズに

進行中に仕様変更があった場合、工数管理画面から再見積・契約更新へ連携可能。変更履歴が残るため、関係者間の確認もスピーディかつ透明性の高い対応が実現します。

このように、プロカンは「見積・請求・契約」の個別管理を脱し、プロジェクトの全体像を常に把握できる体制構築をサポートします。

属人化を脱却し、正確性とスピードを両立したWeb制作会社の変革

ここでは、プロカンを導入し「見積・請求・契約管理」を大きく改善した実例をご紹介します。

株式会社F社(従業員規模:30名/事業内容:Web制作・運用支援)

F社では以前、Excelとクラウドストレージ、個人のメールをベースに見積・請求・契約の管理を行っており、次のような課題に直面していました。

  • 案件ごとの見積金額にバラつきがあり、原価割れが頻発
  • 契約書は担当者のローカル保存に頼っていたため、トラブル時に原本が見つからない
  • 請求書の送付タイミングをPM任せにしていた結果、請求漏れや遅れが発生

これらの課題は、業務効率や信頼性だけでなく、実際の利益にも影響を及ぼしていました。

プロカン導入後の変化

F社では、すべての案件をプロカン上で一元管理する方針に切り替えました。

  • 見積作成の標準化:全PMに共通のテンプレートを使わせることで、漏れや過少積算を防止。過去案件との比較も容易になり、提案の妥当性を社内でレビューしやすくなりました。
  • 契約管理の一元化:契約書はプロカンにアップロードし、履歴・バージョンも記録。社内の誰でもアクセスできる状態とし、法務チェックの履歴も記録可能に。
  • 請求ステータスの見える化:請求予定や入金状況がダッシュボードで可視化され、経理部門との連携もスムーズに。請求漏れがほぼゼロになり、キャッシュフロー改善にも寄与。

結果として、F社は「誰が」「どの案件で」「どこまで処理したか」をリアルタイムで把握できるようになり、PMの属人的な作業負担を軽減するとともに、会社全体の業務信頼性を高めることに成功しました。


資料ダウンロードでより詳しく

Web制作会社にとって、「見積・請求・契約管理」はただの事務作業ではなく、利益と信頼を左右する経営の中枢です。属人化やミスのリスクを排除し、正確で効率的な業務運営を実現するには、プロジェクトの一元管理が不可欠です。

プロジェクト型ビジネスのために設計されたERP「プロカン」では、Web制作現場の実態に即した「見積・請求・契約」の管理体制を構築できます。