制作会社を経営・運営するうえで、売上の数字だけを追いかけていても、事業の健全性や持続可能性を正しく判断することはできません。本当に注目すべきは「売上総利益(粗利)」です。
売上総利益は、企業がどれだけ効率よく利益を出しているかを示す、最も基本的でありながら見落とされがちな指標です。特に、外注費や人件費など原価の割合が高い制作業界では、利益の実態を把握しないまま案件を増やすと、むしろ経営が苦しくなるリスクもあります。
本記事では、売上総利益の定義とその重要性、そしてそれを正確に管理・活用するための手段としてシステムの活用法について詳しく解説します。売上管理に課題を抱える事業責任者や営業マネージャーに向けて、明日からの判断材料となる実践的な内容をお届けします。
売上総利益とは何か?
売上総利益(粗利)とは、「売上高から売上原価を引いた金額」を指します。制作会社においては、プロジェクト単位の収益性を測る上で不可欠な指標です。例えば、動画制作の案件で100万円の売上があり、協力会社への支払いや人件費などの原価が70万円であれば、売上総利益は30万円となります。
この数値は単に「儲け」を表すだけでなく、「どの案件が利益を生み出しているのか」「コストがかかりすぎていないか」といった経営判断に活用される重要な経営管理データです。
売上管理がなぜ重要なのか
制作業界では、案件ごとに工数・外注費・制作期間が大きく異なるため、全体の売上規模だけを追っていても、実際の収益性は見えてきません。以下のような課題を抱えるケースが多く見られます。
- 売上は順調だが、利益が伸び悩む
- 多くの案件を受注しているのに、キャッシュフローが厳しい
- 各プロジェクトの収支がブラックボックス化している
こうした問題を解決するには、売上高だけでなく「売上総利益」や「利益率」といった視点で案件を管理する体制が不可欠です。
売上管理と原価管理の連携
売上総利益を正確に把握するには、売上管理と同時に原価管理も欠かせません。制作会社における原価とは、外注費・人件費・素材費・交通費など、案件ごとに発生するすべての直接コストです。
たとえば、広告動画を1本制作する場合、以下のような原価が発生します。
- 撮影スタッフへの外注費:20万円
- ナレーション収録費:10万円
- ディレクターの稼働工数換算:15万円
- ストック映像素材費:5万円
売上が80万円であれば、売上総利益は30万円(利益率約37.5%)となります。このように、売上総利益を管理するには、売上と原価の両方を可視化するシステムが求められます。
「プロカン」で実現する売上総利益の見える化

プロジェクト収支をリアルタイムで可視化できるツールとして、「プロカン」は非常に有効です。プロカンでは、以下のような管理が可能です。
- 案件ごとの売上・原価・利益率の自動計算
- 営業・制作チーム別の収支集計
- 見積・受注・請求書のデータ連携による一元管理
これにより、案件単位での収益性の分析がスムーズになり、事業責任者や営業マネージャーが的確な意思決定を下すための基盤が整います。
営業マネージャー視点での売上管理強化ポイント
営業活動における売上総利益の意識は、単なる受注数の最大化だけでは測れない「質の高い売上」を目指す上で重要です。
たとえば、以下のような視点が求められます。
- 高利益率な顧客や案件に注力する
- 工数や原価を最小限に抑えられるパッケージプランを開発する
- 過去データを活用した見積の精度向上
プロカンでは営業と制作の情報連携もスムーズに行えるため、見積段階で利益シミュレーションを行いながら、戦略的な営業活動が可能になります。
売上総利益を軸にした経営改善のステップ
売上総利益を軸に経営改善を進めるには、以下のようなステップが効果的です:
- 案件ごとの収支を正確に記録する仕組みを整備する
- 売上高・原価・利益の可視化を定常業務に組み込む
- 利益率が低い案件の共通点を分析し、営業戦略や制作フローを見直す
- 利益率の高い案件モデルを再現可能な形で仕組み化する
- プロカンなどのERPを活用して、継続的にデータドリブンな判断を行う
これにより、場当たり的な経営から脱却し、着実に利益体質の組織へと変革できます。
まとめ
売上総利益は、制作会社にとって「どれだけ働いて、どれだけ手元に残るか」を示す最重要指標の一つです。売上だけを見ていては、利益が出ているのか、無駄が多いのかを判断することはできません。
プロカンのようなツールを導入し、プロジェクトごとの収支を正しく把握・管理することで、制作会社の収益性は大きく向上します。営業・制作・経営が一体となって「儲かる仕組み」を構築し、持続可能な成長を目指しましょう。