2023/11/15 2024/9/20
ガントチャートを用いてプロジェクトごとにタスク管理|おすすめツール6選を解説
大きなプロジェクトになればなるほど、タスク管理をすることは必須事項です。タスク管理を実現する代表的な手法がガントチャートですが、言葉を知っていても使い方まではわからないという方が多いのではないでしょうか。この記事ではガントチャートでタスク管理をする方法について手順を解説します。
また、ガントチャートを利用するメリットなども紹介するので、特徴や長所を知り、業務に役立ててください。さらに、記事の後半ではタスク管理を行えるプロジェクト管理ツールも厳選して紹介します。これからプロジェクト管理をしようとしている方、日々のタスク管理を効率的にしたい方はぜひご覧ください。
目次
ガントチャートを用いてタスク管理する方法
ガントチャートとは、日本語で「スケジュール表」「計画表」「工程表」などとも言われる表の一種です。ガントチャートは横棒グラフのような見た目をしており、横軸には日付(カレンダー)、縦軸にはタスクを記載して、タスク管理とスケジュール管理を同時に行うことができます。
本項では、進捗管理の手法としても有名なガントチャートの構成要素について詳しく解説します。
- WBSでタスクを細分化する
- ガントチャートを作成する
WBSでタスクを細分化する
ガントチャートを作るためには、まず縦軸にあたるタスクを洗い出す必要があります。タスクを細分化したリストはWBS(Work Breakdown Structure)と呼ばれます。WBSはガントチャートの一部ではありませんが、ガントチャートを作る上ではWBSの作成が必須です。
よくWBSとガントチャートは混同されがちですが、WBSがタスクのリストを表しており、ガントチャートは作業計画(スケジュール)を表すという違いがあります。WBSのタスクを作る際は、作業単位で細かくリストアップすることが最も重要です。タスク以外の項目としては、作業開始(予定)日・終了(予定)日・進捗率・担当者などを記載しましょう。
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ガントチャートを作成する
WBSでタスクの一覧を書いただけの状態では、テキストだけなので視覚的に理解がしにくいでしょう。そこで、直感的な理解をサポートするためにガントチャートが登場します。
洗い出しが済んだタスクに対して、スケジュールを横棒グラフで記載し、横軸のカレンダーと対応させます。グラフの長さが工数(作業日数)を表すので、横棒グラフを見ることで日程や作業量の目安がおおよそつかめるでしょう。ガントチャートおよびタスクは、基本的に上から作業順に記載するのが見やすいですが、例外もあります。
具体的な作成手順は、下にある「ガントチャートの作成手順を解説」の項で詳しく解説しますのでこちらをご覧ください。
タスク管理にガントチャートを使用するメリット
ガントチャートでタスク管理をすると、以下のようなメリットを受けられます。細かくやればやるほど管理の手間がかかるのが注意点ですが、それ以上にメリットは大きいです。中途半端に取り組んで抜け漏れが発生しないよう、メンバー全員でしっかりと取り組むことが求められます。
- 全体のタスク量の把握がしやすい
- どのタスクをいつやれば良いか可視化できる
- 問題が起きてもすぐに対処できる
- 作業進捗のコミュニケーションが取りやすい
全体のタスク量の把握がしやすい
プロジェクト開始前に一度ガントチャートを作っておけば、作業期間全体でどの程度の仕事量があるか明確になります。そのため、決まっている納期に対して、いつから作業を始めればいいかがはっきりするでしょう。プロジェクトが始まった後も、どの程度作業が終わっているか全体像が俯瞰的にイメージできるため、定期的に更新をすれば最後まで役立ちます。タスク量に対して人手が足りなければ、具体的に不足するタスク量を計算した上で「何人月分の人員が必要」といった手配もしやすいでしょう。
どのタスクをいつやれば良いか可視化できる
ガントチャート(WBS)ではタスクごとに期日を設定するため、タスクをこなすタイミングをチームメンバーが迷わずに済み、連携がスムーズに進みます。メンバーは進捗管理表を見るだけで毎日何をやればいいかがわかりやすく、どのタスクから優先して実行すれば良いかも判断可能です。管理者がいちいち細かく指示をせずとも、メンバーが優先順位を理解して適切に動いてくれるでしょう。もちろん、メンバーに任せきりにするだけではなく、日々の進捗率や予定とのズレなどは定期的に報告をしてもらいましょう。
問題が起きてもすぐに対処できる
仮にタスク管理を全くしなかった場合、スケジュールが遅延しているかどうかも判断できない可能性があるでしょう。一方、ガントチャートを使えば管理者だけではなく、メンバー同士もリアルタイムで状況を把握して報告ができます。遅延が発生したらタスク単位ですぐに察知できるので、その分迅速な対処が可能です。問題の発生自体を防ぐことは難しいですが、事象に対して傷口を広げずに対応ができるでしょう。
作業進捗のコミュニケーションが取りやすい
WBSとガントチャートの資料があれば、チーム内に共通認識が最初から出来上がっている状態を作り出せます。資料を見ながら話をすれば打ち合わせが早く済みますし、伝達ミスや勘違いも起きにくいでしょう。周りの進捗状況もわかるので、1人に業務の負荷が偏りにくく「自分だけが仕事を押し付けられている」といった不満が出ることも少なくなるはずです。チームワークの向上やモチベーションアップも期待できるので、結果的に作業効率化にも有効に働くでしょう。
ガントチャートの作成手順を解説
続いては、ガントチャートの作成手順について作業工程を順に解説します。以下の順番でやるべきことやコツを紹介するので、一つずつ理解しながらご覧ください。
- 1.全てのタスクを洗い出す
- 2.タスクの順序を決める
- 3.時間を割り振り、タイムラインを作成する
- 4.担当者の割り振り
- 5.ガントチャート全体を最終確認
作業の順番は多少前後しても問題ありませんが、上記手順で行うと修正が少なく済むのでおすすめです。プロジェクト開始前に一通り作ってしまい、プロジェクトを開始後は計画と実績を比較して随時見直しましょう。
また、ExcelならMicrosoftのサイトにガントチャートのテンプレートデータがあるので、作り方に迷っている方は参考にしてください。Googleスプレッドシートならテンプレートにガントチャートの形式が用意されているため、そちらを活用するのがおすすめです。
手順1:全てのタスクを洗い出す
まずはWBS部分から作成するため、できるだけ細かくタスクを洗い出します。内容を整理しながら記載したい場合は、プロジェクトのフェーズやマイルストーン(中間目標)ごとに区切って列挙しても良いでしょう。この時点では漏れがないことが最重要なので、迷ったら一旦全て書いておくのがおすすめです。
ただ、あまりに細かすぎると項目が増えて表が見づらくなるデメリットもあるので、洗い出した後に精査をしてバランス調整をしましょう。作業時間が短く、他のタスクと関連性のないものなどは、別の場所に箇条書き程度で書いておいても大丈夫です。作業忘れが起こらないことを最優先に、可能な範囲で見やすい表を作成してください。
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手順2:タスクの順序を決める
タスクの作業順を決める方法はいくつかありますが、優先したいタスクは以下のようなものです。
- 規模が大きいタスク(時間・人手がいるタスク)
- 過去に経験のない作業を含むタスク
- 後続処理が多いタスク
まず、規模の大きいタスクは調整が大変ですが、面倒くさがらず早めに手をつけることが重要です。プロジェクト全体の進捗にも影響を与えるので、下準備から念入りに行いましょう。大人数のスケジュールを合わせようとするとイレギュラーが起きやすいので、リスケの日程も決めておけばより万全です。
次に、経験のない作業は失敗・遅延する可能性が高いため、できる限り前半に日程を組みましょう。リスクのあるタスクを終盤に残さないことで、プロジェクト終了間際で慌てないようにします。
続いて、前後関係が決まっていて後続処理が多いタスクも早めに終わらせ、後ろの作業を開始できる状態にしましょう。ボトルネックで待機する人を増やさないようにすることが大事です。また、特定の人に依存している作業があれば、それもボトルネックになりやすいので優先して片付けましょう。
手順3:作業時間を設定し、タイムラインを作成する
タスク部分が完成したら、次はガントチャートのタイムライン(スケジュール)作成を行います。作業時間の設定は管理者だけだと難しいので、必要に応じて作業者と打ち合わせをしても良いでしょう。意外と忘れがちですが、要所要所でバッファを確実に設定してください。
プロジェクトの締め切りが最初から決まっているケースも多いと思いますが、作業がぎっしり詰まっているのは非常にリスクが大きいです。作業に遅れが出た際、スケジュールを後ろ倒しにするのではなく、可能な限りバッファで吸収するようにしましょう。プロジェクト開始前の段階でバッファが設定できないぐらいギリギリの状態なら、人員の要請もあわせて行った方が良いでしょう。タイムライン作成後は、タスクの順序を微調整して全体のバランスを改善します。
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手順4:担当者の割り振り
ここまで来たら、次のステップは担当者の割り振りです。担当者の選び方としては、まず第一に作業が特定メンバーに集中しないようバランス良く入れましょう。メンバーごとに力量や経験の差もあると思うので、リスクの大きい作業は熟練者に任せるといった対応も必要です。
人数の多いプロジェクトなら、最初に数人のチームを組ませてから、そのチームごとに作業を割り振っても良いでしょう。少人数のプロジェクトでも、可能な限り2人以上の担当をつけるかバックアップメンバーを設定して、タスクに対して欠員が出ないように注意してください。人数が明らかに不足しそうな場合は、人員追加の相談を早めにしておきましょう。
手順5:ガントチャート全体を最終確認
最後に全体の内容を見直して、作業負荷やスケジュールのバランスなどを最終確認します。内容は最低でもダブルチェック、可能であればメンバー全員へ情報共有するのが望ましいです。
もしスケジュールに多少余裕があれば、後半にバッファを多く設定しましょう。プロジェクト初期の遅れは吸収しやすいですが、終盤で遅れが出るとリスクが一気に高くなります。前半にリスクの高い作業をできるだけ片付けて、後半はリスクを抑えたスケジュール管理で余裕を持たせましょう。
おすすめタスク管理ツール6選
この見出しでは、ExcelファイルやGoogleスプレッドシートよりも専門的にタスク管理をしたい場合の、おすすめツールを6つ紹介します。
- Jooto
- Asana
- Wrike
- みんなでガント.com
- Backlog
- Redmine
それぞれの特徴や、どのようなプロジェクトチームに向いているかなどをご覧ください。基本的には月あたり数百円~数千円程度の費用がかかりますが、利用人数によっては無料で使えるツールもあります。違いを比較しながら、プロジェクトの目的に合わせてツールを選定してください。
Jooto
Jootoは、ドラッグ&ドロップを中心とした簡単な操作でタスク管理ができ、ガントチャートの作成機能も搭載されているツールです。見た目はカンバン形式が基本で、「To Doリスト」「進行中」「完了」の三段階にタスクの配置エリアが分かれています。
タスクはドラックで移動できるので、進捗ステータスの変化に応じてマウスでエリア移動させることが可能です。タスクには画像も添付できるため、一目で容易に内容が頭に入ってくるでしょう。パソコン操作に慣れていないメンバーがいても導入しやすいツールなので、タスク管理は初心者というチームにもおすすめです。
また、プロジェクトごとに権限を設定できるため、プロジェクトを横断するような管理も可能です。料金プランは4種類で、4人までなら無料プランが利用できます。
無料プラン:0円(利用は4人まで)
スタンダードプラン:月417円(年間契約の場合)
エンタープライズプラン:月980円(年間契約の場合)
タスクDXプラン:要問い合わせ
公式サイトURL:https://www.jooto.com/
Asana
Asanaでは「ガントチャート」「かんばんボード」など表示を切り替えてタスク管理ができるツールです。メッセージ機能も搭載されているため、チャットツールやコミュニケーションツールとしての利用もできます。
また、マイクロソフト製品やGoogle製品など外部アプリとの連携機能が充実しているため、既存のツールに蓄えた情報も活用可能です。
料金は無料プラン+有料プラン3つが用意されており、無料プランは15人まで利用可能です。
Basic:0円(利用は15人まで)
Premiun:月1,200円(年間契約の場合)
Business:月2,700円(年間契約の場合)
Enterprise:要問い合わせ
公式サイトURL:https://asana.com/ja
Wrike
Wrikeはカンバン方式やスケジュール方式に対応しているツールで、ガントチャートの作成も可能です。テンプレート機能でタスクの登録ができるため、繰り返し作業があるプロジェクトなどに向いているでしょう。
こちらもAsanaなどと同じく、マイクロソフト製品やGoogle製品などとのアプリ連携が充実しているのも強みです。Freeプランはユーザー数が無制限ですが、使えるストレージ容量は2GBまでで、管理できるタスクの数が決まっているなどの制限があります。アメリカ発のツールですが日本人でも使いやすく、価格はドル表記ですが日本円で支払い可能です。
Free:0ドル
Team:月9.8ドル
Business:月24.8ドル
Enterprise:要問い合わせ
Pinnacle:要問い合わせ
公式サイトURL:https://www.wrike.com/ja/
みんなでガント.com
みんなでガント.comは、ガントチャートに特化したオンライン上のツールです。さらにTODOリストの管理もできるため、タスク管理ツールとしても使えます。Slackと連動させて、そちらのタスクを自動的に通知させることもできるため、特化ツールですが利用範囲は幅広いです。
また、IPアドレスによるアクセス制限をガントチャート毎に設定することが可能なので、オンラインの弱点であるセキュリティも確保されています。
料金は月あたり600円~で、5つのプランが用意されています。無料プランはありませんが、基本機能については30日間無料でお試し可能です。
トライアル:月600円(3ヶ月契約)
エントリー:月717円(1年契約の場合)
ビジネスS:月1,466円(1年契約の場合)
ビジネスM:月3,000円(1年契約の場合)
ビジネスL:月6,000円(1年契約の場合)
公式サイトURL:https://www.minna-de-gantt.com/
Backlog
Backlogでは、タスク(課題)を起票して期限や優先度などのステータスを入力し、管理することができます。ガントチャートの表示もでき、表示期を1ヶ月~6ヶ月の間で変えられるので、プロジェクト期間に応じた確認がしやすいでしょう。シンプルなデザインで直感的に操作できるのも特長で、ガントチャート画面の棒グラフをマウスで掴んで左右に動かすといった操作も可能です。
基本的にはシステムエンジニア向けのツールなので、IT系プロジェクトの利用に適しています。無料トライアルはありますが、基本は月額制の有料ツールです。
スターター:月2,970円
スタンダード:月17,600円
プレミアム:月29,700円
プラチナ:月82,500円
公式サイトURL:https://backlog.com/ja/
Redmine
Redmineは、オープンソースで開発されているタスク管理ツールです。タスクは「チケット」という名前で管理され、ガントチャートの作成機能もあります。オープンソースのため、無料で全て利用できるのが最大のメリットですが、サーバーなどの環境は自社で用意して運用しなければなりません。
準備作業やリソース管理が難しい場合は、有料でクラウド版を使えるサービス「My Redmine」を利用しましょう。システム開発者向けなので難易度は高めですが、社内に知識がある方がいれば設計やカスタマイズの自由度は高いので、柔軟に対応可能です。
公式サイトURL:https://redmine.jp/
タスク管理は複数のツールから自分にあったものを選びましょう
この記事では、ガントチャートをメインにタスク管理をする方法について解説しました。ガントチャートはWBSとセットで構成されており、WBSでタスクを細分化した後にガントチャートを作成します。管理やメンテナンスに手間はかかりますが、プロジェクト中はそれ以上のメリットを受けられるため、タスク管理の実施は必須と言って良いでしょう。
ただし、タスク管理のやり方には絶対の正解はありません。組織の規模やプロジェクトの内容などに合わせ、企業としての目標を達成するため自社に最適なツールを選択して活用しましょう。
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