2023/11/10 2024/6/5
案件管理をエクセルで行う方法と無料テンプレ|おすすめツールも紹介
プロジェクトの進捗管理や営業活動においての顧客管理は案件が増えるほど負担が大きくなります。負担が増えるのは担当者だけでなく管理者も同様で、日々の業務へ支障をきたしかねません。組織全体での情報共有や業務の効率化を測る際には、これらの情報をまとめて一元管理し、目標や進捗状況、売上金額などを可視化できる案件管理が必要です。
昨今はどの企業でも案件管理を取り入れていますが方法はさまざまで、自社に合った最適なツールを活用しなければ案件管理自体が目的になってしまうでしょう。案件管理のシステムはいざ導入しようとしてもエクセル(EXCEL)やクラウドツールなど豊富に提供されているため自社に合ったシステムを探すのは困難です。
そこで本記事では、案件管理の目的を明確にして重要性を解説。エクセルを用いた案件管理のポイントをもとにメリットとデメリットを紹介します。無料テンプレートも厳選して紹介しているので活用してみてください。自社の案件管理に限界を感じている方にも専用ツールを紹介しているので要チェックです。
目次
案件管理の目的
案件管理は日々の業務の進捗管理をスムーズに行うためでなく、組織全体の生産性向上や目標達成、情報共有を目的としています。
案件管理を行う際にはプロジェクトの進捗情報・顧客情報・目標・売上金額など、案件の進捗情報をリアルタイムで記録し、案件全体の管理状況を見える化できるようにする必要があります。「いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように」という5W1Hの情報や、受注予定日・金額の見込みなどが可視化され、各案件の情報が明確で正確に連携できるようになります。
- プロジェクトの進捗を記録してスムーズに進行する
- 動いている案件を可視化して受注確度を高める
- 受注や売上の見通しを立てて業績予想に役立てる
- 属人化を回避してノウハウとナレッジを社内に蓄積する
プロジェクトの進捗を記録してスムーズに進行する
案件管理を行う際にプロジェクトごとに進捗状況を記録しておけば、チームメンバーは案件管理表さえ見ればプロジェクトがどの程度進んでいるかがわかり、進捗状況に応じて優先度を決めて動くことができます。さらに予定よりも遅れているタスクや自分が対応すべきタスクを発見してチーム全体が協力して対応できることでプロジェクトをスムーズに進行できます。
プロジェクト進行の際に案件管理の記録をしっかりと残しておくことで改善点を探しやすくし、次のプロジェクトでの課題としてブラッシュアップを測る際にも役立ちます。
動いている案件を可視化して受注確度を高める
案件管理を行う目的のとして受注確度を高めるという観点から解説します。
ひとつの案件に対して個人で対応を進めている場合、その人の中にあるもののみが答えとなり、担当者の能力によって受注確度が決まります。しかし案件管理をしてすべての情報を共有しておくことでクライアントの要望や抱えている課題、現在の状況が可視化され、他のメンバーやチームリーダー、プロジェクトマネージャーから適切なアドバイスを得られることもあるでしょう。特にマネージャーは目標達成状況に応じて適切な対応を取ることができます。
クライアントの悩みを解決できる分野の知識に長けている人間やクロージングが優れている人を同行させるなど、個々ではなく組織として案件獲得ヘ向けて行動することで受注確度を高めやすく、案件管理を行うことで自社だけでなくクライアントにも最適な行動が取れるようになります。
受注や売上の見通しを立てて業績予想に役立てる
案件管理では各プロジェクトの進捗記録を残すことが求められます。プロジェクトごとに進捗を記録しておくことでいつ頃受注できる見込みなのか、その結果どれくらいの売上が立つのかといった事業全体での業績予想が立てられます。
例えば営業活動では、アポイントの獲得から受注までの一連の業務をパイプライン管理と呼び、それぞれの進捗状況を管理することで改善点を見える化していきます。どのフェーズで失注することが多いのか、商談が長引いているのかといった成約の妨げとなる部分を定量的に分析します。
- アポイント獲得
- ヒアリング
- 商談
- 解決策の提案
- プレゼン、見積もり
- クロージング
- 受注
属人化を回避してノウハウとナレッジを社内に蓄積する
仮に社内にアポイント獲得の得意な営業マンがいたとしましょう。彼はアポイント獲得は得意なものの受注に結びつけるのは苦手です。また彼とは逆で、アポイント獲得は苦手で件数こそ少ないですがクロージングに長けており、確実に受注に結びつける営業マンもいた場合、それぞれの営業術やノウハウを共有することでお互いが良い結果を得られる可能性があります。
このように成績優秀な営業のノウハウやナレッジを属人化してしまうのではなく社内に蓄積するのは企業としても大きなメリットで資産化していく価値は大きいです。営業未経験者や新卒が入社した際の資料や未達者へのフォローアップとしても活用ができ、多くのメンバーが結果を残しやすくなることで業績向上だけでなく従業員の定着にも貢献します。
エクセルでの案件管理のポイント
本項ではエクセルで案件管理を行うことを想定してポイントやコツを解説していきます。
定量的なデータ収集の環境整備
案件管理を行う際には定量的なデータを用います。特にエクセルで案件管理を行うのであれば、データの種類が増えすぎて管理しづらくならないように収集しやすい環境を整備する必要があります。
エクセルは管理ツールではなく表計算ソフトのため数値をもとにした分析を行うのには適していますが、データの種類が増えるほど複雑化し、負荷が増大します。不要なデータは容量の圧迫だけでなく担当者の労力も消費するため、業務効率化を行えない可能性があります。
どのデータが必要なのか、分析のために数値の入力を行うだけで計算を行い、表やグラフで可視化するなど時間をかけずに分析できる環境を整備して運用するのが望ましいでしょう。
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入力の頻度や形式の統一
案件管理を正しく行うには、入力頻度や形式の統一も大切です。例えばある人は毎日欠かさずに入力をしていますが、別の誰かは週に1回の入力となると進捗の遅れやトラブルが発生しても気づくことができません。
また入力形式も上記同様で明確にしておかなければ、担当者が何を記入すれば良いのかわからず困ってしまうケースも多いです。日付入力でよく見られる光景ですが、2/22or2.22のように各々が自分のやり方で入力を進めた結果うまく分析が行えないなんてことにもなりかねません。
有名な「エビングハウスの忘却曲線」にもありますが、人は記憶してから1日経過するだけで84%もの情報を忘れると言われます。大事な情報を忘れたまま顧客と商談しては、トラブルが起きる原因となるため、次のアポイントまでに時間的余裕があるならば、1顧客ごとに必要項目へ入力をしておくとトラブル防止に繋がるでしょう。
トラブルを防ぐためにも入力頻度は毎日、入力する時間帯も夕方◯時までのようにルールを明確にしておくと、管理者はより状況把握がしやすくなります。担当者も案件管理に毎日入力することで、顧客情報や進捗、受け取った課題が漏れにくくなります。同時に入力ルールについても決めておき、定期的にシートを改善していくのも重要です。
情報、進捗、アクションの管理
案件管理を行う際には以下の項目が重要です。
- 営業担当者の名前
- 取引先の情報(企業名や担当、決裁権者など)
- 案件の引合発生日や受注予定日
- 折衝時の課題や要望
- 商談の進捗
- 行動履歴
- 受注後の情報管理(売上や追加の提案、案件進行中の担当者所感など)
会社によってはこれ以外にも商材や流入チャネル、アプローチ方法など必要な情報はさまざまなので自社で必要とされる項目を用意しておきましょう。エクセルで運用する際には下で紹介するテンプレートをもとにして取捨選択を行うことで自社に最適な形式での案件管理を行えます。
詳細にデータを収集しすぎるのは時間的にも見やすさ的にもおすすめしませんが、案件の把握は行いやすくなり、目標達成に向けて最適なアプローチを行うための手助けとなります。
案件管理でエクセルを使うメリット
案件管理が行えるツールの一つであるエクセル。本項では案件管理に特化した専門ツールと比較してどういうメリットがあるのかを解説します。
- 導入コストを最小限に抑えられる
- 操作に慣れている社員が多く、導入のハードルが低い
- 自社に合わせたカスタマイズがしやすい
導入コストを最小限に抑えられる
エクセルを利用した案件管理のメリットとして大きいのはやはり導入コストでしょう。多くの企業ではすでにエクセルが導入されていることが多く、新たに案件管理を行う際に初期費用をかけずに始めることができるのは大きなメリットといえるでしょう。
また、エクセルはイニシャルコストだけでなくランニングコストも抑えられます。買い切りで購入していた場合、購入費用がかかるだけで、その後のコストは一切ありません。サブスクリプションでの契約だったとしても、案件管理以外に表計算やデータ入力などで使う頻度が高い企業であれば、案件管理をエクセルで行うのもひとつの手段です。
操作に慣れている社員が多く、導入のハードルが低い
この記事を読んでいる方の中にエクセルを使用したことがないという方はいますか?もちろん使用したことがない方もいますが少数だと思います。さらにエクセルだけでなくGoogleスプレッドシートやNumbersとなるとさらに未経験者は減るでしょう。このように操作になれるまでの教育コストが低いという点も、エクセルで案件管理するメリットです。
難しい関数はわからないものの簡単な基本操作はできるという人が多いため、操作方法を一から教える必要がありません。エクセルはパソコン初心者でも使えるツールなので、導入から運用までのハードルはクラウドツールと比べるとかなり低くなるでしょう。
自社に合わせたカスタマイズがしやすい
エクセルは案件管理専用のツールではないものの、目的に応じたカスタマイズ性が高いです。状況に応じてセルやシートの追加・削除ができ、蓄積したデータをグラフ化することも容易にできます。エクセルは作成した案件管理はパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでの利用ができ、社内外での入力が容易といった、汎用性が高いツールです。常に進捗状況が最新なため、管理者・担当者問わず利用しやすいでしょう。
一から作成するのが難しい場合でも後述するテンプレートをもとにカスタマイズしていくことで自社に合った形での案件管理が行なえます。エクセルに精通したメンバーが社内にいればカスタム関数や条件付き書式はもちろん、マクロなどを活用してデータ解析やレポート作成の手助けもできるでしょう。
案件管理でエクセルを使うデメリット
エクセルは案件管理に特化したツールではないためデメリットも存在します。メリットだけでなくデメリットも理解して自社ではどうすべきかを判断するのが重要です。
- データ集計に手間がかかる
- 時系列で把握しづらい
- リアルタイムでのデータではない
- 他の関連ツールとの連携が困難
- 外出先での操作がむずかしい
- 大量データ管理には向いていない
データ集計に手間がかかる
エクセルはファイルの共有はできますが、内容の同時編集ができません。1人が編集していれば、他の人はファイルを開くこともできず、入力している人がファイルを閉じてからでないと、閲覧・編集ができない点は注意が必要です。そのため常にタイムラグが生まれ、集計するにも手間がかかることになります。
そのため、大企業や複数の企業が参加をするようなチームメンバーが多いプロジェクトの場合は、エクセルでの案件管理は不向きと言えるでしょう。
時系列で把握しづらい
エクセルはあくまで表計算ツールなので、時系列で管理ができません。ファイルやシートごとに分かりやすい名称を付ける必要があります。顧客ごと見るのか時系列で見るのかどちらかに統一してシートを更新していく必要があり、角度を変えてさまざまな視点から把握、分析を行うには適していないことがわかります。
一方で案件管理ツールであれば顧客ごとであっても時系列にデータを確認しやすく、瞬時に欲しいデータを欲しい形式で作成できるメリットがあります。
リアルタイムでのデータではない
同時編集や更新頻度とも重なる部分ではありますが、最新データは更新された時点でのデータあり、リアルタイムでのデータではありません。
分析を行おうと思ったがデータ更新の都合で昨日までしかデータがないなんてことも起こり得ます。外出や休暇など情報更新が難しいタイミングであればなおさらで、リアルタイムでの情報を分析にしようするような業界では不向きです。
他の関連ツールとの連携が困難
エクセルでの案件管理は、他の関連ツールとの連携が困難というのもデメリットの一つです。マーケティングや営業活動の分析をする際、エクセルと連携できるツールが少ないため、顧客管理などを並行するのであれば一から記載しなければなりません。入力の手間という点ではクラウドツールに劣る面が多いです。
また、過去と似たようなことを入力したい時も、クラウドツールなら自動で過去の記録が反映されていますが、エクセルは毎回入力する必要があるので、金額ミスや記入漏れなどが発生するケースもあります。案件管理の顧客情報や顧客からの課題・要望などの項目に、PDFファイルや画像ファイルを添付できず、情報の透明度が失われやすいのもデメリットになるでしょう。
外出先での操作がむずかしい
エクセルはPC操作を主として作られているためスマートフォンやタブレット端末での操作は困難を極めます。特に営業は外出する頻度も高いため出先で編集ができないのは不便であることが多いです。
また、データを確認しようとしても閲覧できないこともあるため操作性の点でもクラウドツールに軍配が上がります。
大量データ管理には向いていない
中小企業や社内の一部門のように少量のデータのみであればエクセルでもデータ管理はできますが、大企業など多くの人間が関わる場合はエクセルではデータ容量が大きくなってしまいフリーズしてしまうこともあるでしょう。最初は問題なく使用できていても時間が経つことでデータは蓄積していき、エクセルが重いことで他の業務にも支障をきたす可能性もあるため、大量のデータを扱う際には不向きと言わざるを得ません。
無料で使えるエクセルテンプレート
本項ではエクセルで案件管理を行う際に使用できるテンプレートを4つ紹介します。案件管理のフォーマットをエクセルで一から作るのは時間がかかるため、下記のテンプレートから使いやすいものを選び、それをもとにしてカスタマイズしていくことをおすすめします。
Microsoft Officeのテンプレート
エクセルの開発元であるマイクロソフトによるテンプレートです。Officeテンプレートは案件管理以外にも充実しており、役立つテンプレートが多いのでこの機会に導入してみるのもいいですね。
おすすめテンプレート
・売上管理表 (セールス)
・顧客管理表
・業務報告書 (日報・週報)
・その他のビジネスにおすすめのテンプレート
hubspotのテンプレート
HubSpotはエクセルで行う営業管理のテンプレートを無料で提供しています。ダッシュボード(目標管理)や営業進捗管理、ToDo管理とシートによって役割が異なり、一元管理が行なえます。
おすすめテンプレート
smartsheetのテンプレート
smartsheetでもダウンロードして無料で使用できるエクセル用のプロジェクト管理テンプレートがあります。プロジェクトのステータス管理やメンバー間での共有が行なえ、To-Do List、Issue Tracker、Project Timesheet、タスクリスト、Project Managementの5つのテンプレートが用意されています。
おすすめテンプレート
mazricaのテンプレート
Mazricaでは営業の案件や進捗管理に使用できる無料テンプレートを提供しています。エクセルが苦手な人でも案件管理ができるのが売りで、主に新規営業の営業プロセスを管理することに重きをおいたテンプレートです。
おすすめテンプレート
エクセル以外で案件管理をする方法
エクセルでの案件管理に限界を感じる方も少なくないのではないでしょうか。本項ではエクセルを利用せずに案件管理を行う方法やシステムについて紹介します。
- Googleスプレッドシート
- 顧客管理ツール(CRM)
- 営業支援ツール(SFA)
- 案件収支管理システムのプロカン
Googleスプレッドシート
GoogleスプレッドシートはGoogle社が提供しているクラウド型のシステムです。エクセルとほぼ同じ機能が使用できるだけでなく、Googleアカウントさえあれば無料で利用でき、同時編集が可能です。
エクセルと同様に案件管理ツールではないため、細かな分析を行うには適していませんが使い勝手が同じなためエクセルを新たに導入するのであればスプレッドシートを利用するのも手です。
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顧客管理ツール(CRM)
CRMはCustomer Relationship Managementの略で顧客管理ツールです。CRMは案件管理の中でも顧客の情報管理を主としたシステムで、成約後の顧客との関係構築をすすめて継続を狙う施策を実現するためのツールです。
専用ツールのため導入や利用にお金がかかりますが、会社規模に合わせて機能を選択して利用することもできます。
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営業支援ツール(SFA)
SFAはSales Force Automationの略で営業支援ツールです。CRMが顧客の情報管理を主としているのに対してSFAは商談のデータや対応履歴をデータ化し、営業活動を幅広くサポートするツールです。
併せて読みたい関連記事
こちらも同様に専用ツールのため導入や利用にお金がかかりますが、会社規模に合わせて機能を選択して利用することもできます。
案件収支管理システムのプロカン
プロカンは案件やプロジェクトごとの収支管理に特化したクラウド型基幹業務システムです。予実管理や経理業務に必要かつ煩雑な収支管理も容易に行えるのが特徴で、初めての方でも使いやすいUI設計を目指して作られているためすぐに浸透が見込めます。
プロジェクトごとの売上や原価、経費などのデータの集約もでき、月次での収支の明確化も可能です。数カ月先の売上や利益も正確に予測できるので、プロジェクトの修正や必要な業務の選択なども適切に行えます。
下記のボタンからはプロカンのカバーする業務領域や機能例、お客様の声を確認してみてください。資料請求やデモンストレーションを希望される方はフォームよりお問い合わせください。担当から折り返しご連絡をいたします。
案件管理は社内DXとしての側面もある
昨今ではDXが推進されており、社内で取り組むべきとされています。本項では社内DXの観点から案件管理を解説します。
そもそもDXとは?
DXとは「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」のことを指し、デジタル技術を利用して組織や働き方を改革するといった意味を持ちます。似た意味の言葉でIT化と混同されがちですが、DXを推進するための目的としてITを利用するといった具合に目的と手段の関係にあります。
経済産業省による企業DX推進施策
経済産業省では「2025年の崖」という名を用いて、DX化をしなければ2025年以降に日本全体で約12兆円の経済損失が生じる可能性があるとして「デジタルガバナンス・コード」に沿った企業DXを推進しています。
働き方改革が進む現在ではテレワークなどのオンライン業務でもお互いのタスクや案件が管理できるツールの導入は必要不可欠です。
【まとめ】案件管理は自社にあったツールを使用しましょう
案件管理は業務効率化や組織力向上など、多くのメリットをもたらします。会社の規模や必要な機能が何かをしっかりと考えてから、自社に合う案件管理ツールはエクセルで良いのか、クラウドツールが良いのかを検討しましょう。
プロカンでは案件収支管理に必要な業務領域をカバーするとともに、ウェビナーも開催しています。まずはシステムの機能や気になる点、導入事例をホームページから確認してみてください。