1. はじめに:制作会社における「販管費」管理の重要性
デザイン、映像、広告などの制作会社では、原価と間接費のバランスが経営の健全性を大きく左右します。特に「販売費及び一般管理費(販管費)」は、直接的な制作原価とは別にかかる費用であり、適切に把握・分類しないと収支の見通しが立ちません。
本記事では、販管費の定義、具体的な勘定科目、経費としての扱い、そしてその見える化と管理に役立つシステムの活用方法まで詳しく解説します。
2. 「販売費及び一般管理費」とは?
定義と概要
「販売費及び一般管理費」とは、企業が製品やサービスを販売し、経営活動を維持するために必要な費用のことです。これは損益計算書(P/L)の「営業利益」を算出するために、売上総利益から差し引かれる費用群に該当します。
制作会社における具体例
区分 | 内容の一例 |
---|---|
販売費 | 広告宣伝費、営業人員の人件費、販促活動費など |
一般管理費 | 事務所家賃、光熱費、経理・総務の人件費、通信費など |
3. 販管費の主な勘定科目とその扱い
よく使われる勘定科目(抜粋)
- 給与手当(営業部門や管理部門の人件費)
- 法定福利費(社会保険料など)
- 通信費(電話・インターネット)
- 地代家賃(オフィス賃料)
- 消耗品費(コピー用紙、文房具など)
- 旅費交通費(営業・会議出張にかかる費用)
- 広告宣伝費(チラシ、WEB広告など)
- 外注費(事務・管理系の業務委託費など)
経費との違い
「販管費」は、会計上の分類であり、日常的な出費である「経費」のうち、間接部門に関わる費用を指します。直接制作に関わる人件費や材料費は「原価」として扱われます。
4. 原価管理における販管費の見える化の必要性
制作会社の特徴として、案件ごとにコストが大きく変動するという点があります。販管費はプロジェクト単位で按分されにくいため、実態が見えにくいのが課題です。結果として「赤字案件を量産していた」「利益率が低下している」といった状況にも繋がりかねません。
よくある課題
- 複数プロジェクトの共通費がどれにどれだけかかっているか不明
- 管理部門のコストが年々増えているのに気づけていない
- 費用の計上が部署ごとにバラバラで、集計が煩雑
5. 原価管理を効率化するには?

「プロカン」とは
「プロカン」は、プロジェクト型ビジネスに特化したERP(統合業務システム)です。収支管理、予実管理、原価按分、会計連携といった業務をプロジェクト単位で一元管理できます。
販管費の管理における主な機能
- 部門・プロジェクト別コスト集計
間接費も任意のルールでプロジェクトごとに配賦可能。 - 人件費・外注費の自動分類
稼働データや工数データを基に、原価か販管費かを自動で判定。 - 予算と実績の比較レポート
各費目ごとの予実差異を見える化。異常値にもすぐ気づける。 - 会計ソフトとの連携
freee、マネーフォワード、弥生などと連携して仕訳ミスを防止。
6. 導入事例:Web制作会社のケース
株式会社アイズバレルでは、案件ごとの収支は見えていたものの、案件数に応じてExcelの数が増えていき、管理工数が膨大で、生産効率が非常に悪いことが悩みでした。プロカン導入後、以下のような変化がありました。
- プロジェクト別に販管費を自動配賦し、利益率が大きく改善
- 月次の損益計算が3日から当日中に完了
- 不採算案件の傾向を早期に発見し、営業・制作体制を最適化
7. 経理責任者が今すぐ取り組むべき3つのアクション
- 販管費を細分化して把握する
まずはExcelや既存の会計ソフトで分類を整理することから。 - 部門ごとの支出構造を見直す
「本当に必要な費用か?」という視点で棚卸しを行う。 - ツール導入で可視化と自動化を進める
業務負荷を下げつつ、経営判断に耐えうる数字を即時で出せる体制に。
8. まとめ
制作会社において、「販売費及び一般管理費」は単なる経費ではなく、経営の健全性を測る重要な指標です。これを正しく分類・管理することで、プロジェクト単位での利益を正確に把握でき、戦略的な経営判断にも繋がります。
「プロカン」を活用すれば、煩雑な販管費管理を一元化し、業務効率と利益率を同時に高めることができます。