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仕訳と勘定科目で変える、IT・システム業の原価管理

システム受託開発会社では、1件ごとの案件で売上と原価が完結する「プロジェクト単位の収支管理」が基本です。しかし、工数の集計漏れや、仕訳・勘定科目の設計ミスがあると、本来得られるはずの利益を見落としてしまうケースも多く存在します。

「なぜこの案件は赤字だったのか?」
「どの案件が利益率が高く、どこに投資すべきか?」

こうした問いに正しく答えるには、管理会計に基づいた正確な仕訳処理と勘定科目の設計が不可欠です。本記事では、その基盤となる会計管理の仕組みと、業務支援ツールの活用方法を解説します。


仕訳が支えるプロジェクト原価の「見える化」

仕訳とは、発生した取引を帳簿に記録するための基礎処理です。開発業務では、以下のような場面で正確な仕訳が重要になります。

  • エンジニアの工数を稼働案件に振り分ける
  • 資材購入費をどのプロジェクトの原価に計上するか判断する
  • 外注費やクラウド利用料などの間接費を適切に分類する

特にシステム開発では、1人月単位の工数やライセンス利用料など、見えづらい原価が多いため、「何を、いつ、どの案件に計上するか」を明確に定義した仕訳処理が収益管理の命綱となります。


勘定科目設計で案件別原価がここまで変わる

勘定科目は、仕訳の費用内容を分類・整理するラベルのようなものです。
たとえば以下のような勘定科目の精度が、プロジェクトごとの収支管理に大きく影響します。

取引内容勘定科目(粗い設計)勘定科目(精緻な設計)
AWS利用料通信費クラウドサービス原価
外部SE費用外注費開発外注費(案件A)
自社エンジニア工数給与手当工数原価(案件B)

粒度の粗い勘定科目では、原価の内訳や改善ポイントが見えなくなります。
また、販管費との混同が生じると、本来プロジェクト原価とすべき費用が管理対象から外れ、利益率が歪んで見えてしまいます。


「プロカン」で実現する原価管理の最適化

受託開発業における原価管理の肝は、「プロジェクト別・工数別・勘定科目別」に一貫して収支を追跡できるかどうかです。これを属人管理で回すのは限界があります。

「プロカン」は、プロジェクト型ビジネスに特化したERPとして、以下の機能を提供しています。

プロカンの主な特長
  • 案件ごとの勘定科目設定と自動仕訳処理
  • 工数管理と原価振替の連携(エンジニアの作業時間=原価)
  • 外注費・ライセンス費・設備費の原価自動分類
  • プロジェクトごとの収益・利益率のリアルタイム表示

このように、プロカンは実際の現場で使われる時間・費用・リソースと、会計処理の世界を橋渡しし、属人的な判断を排除した仕組み化を可能にします。


仕訳・勘定科目を見直す3つのポイント

  1. 工数・外注費・共通費の分類ルールを明確化
  2. 案件ごとに原価集計ができる科目体系を設計
  3. 現場入力と経理処理を自動連携させ、手作業を極力排除

現場では「工数表に案件番号をつけるだけ」で済むようにし、経理側では自動で勘定科目に振り分けられる。こうした構造が、正確で継続可能な原価管理の前提となります。


まとめ:見える原価は、意思決定の質を変える

プロジェクト型ビジネスにおいて、原価を正確に把握することは利益を守る防波堤です。その第一歩となるのが、適切な仕訳と勘定科目の設計です。

「プロカン」を活用すれば、仕訳の自動化と勘定科目の統一により、収支の“見える化”が進み、経営判断の精度が飛躍的に高まります。
これからの受託開発会社に求められるのは、“なんとなくの管理”から、“仕組みによる利益体質化”への転換です。