プロジェクト収支管理とは
「プロジェクトの成功」とはなんでしょうか。その定義と手法は、これまで様々な視点で捉えた数多くの本や記事などによって知ることができますが、すべてに共通していることは「より多くの利益を生み出す」ことであり、そのためには支出を抑えるためのコスト管理が重要です。その中でもプロジェクト収支管理を行う業種、特にシステム・IT業や広告・クリエイティブ業、コンサルタント業などでは人件費が支出の多くを占めています。しかし、システムや管理情報の煩雑さなどから収支を正確に把握できず、課題を抱えている人が多いのではないでしょうか。本記事では、プロジェクト収支管理での悩みと、様々な分野で注目されているDXがプロジェクト収支管理をどのように解決してくれるかを紹介します。担当するプロジェクトを成功に導くためにも、ぜひ参考にしてください。
①プロジェクト収支管理とは?
プロジェクト収支管理とは、「売上」と「原価」を予算と実績の観点から可視化し、正確に把握することです。本記事では、クライアントからの見積金額のうち、未確定のものを予算、確定したものを実績と考え、それぞれに売上と原価が存在しているとイメージしてください。基本的には予算と実績の数値に乖離がないように管理しますが、無駄なコストを削減して収支バランスに合わせた管理ができれば、高利益のプロジェクトを生み出すことができるでしょう。逆に、これらの要素が生み出す収支を完了時まで把握できなければプロジェクト収支管理の精度が下がり、赤字プロジェクトを生み出す原因になります。
・売上
クライアントと商談して算出した見積金額を合意したものです。その内訳は顧客要件に合わせた外注費、材料費、経費、計画工数などを積算したものになりますが、クライアントから提示された金額でコストの内訳を調整することが多く、プロジェクトや企業の規模によって大きく変動します。経営者層は、過去の売上実績や仕入実績、当期の要因計画などから人件費を予測して予算内訳を組み、売上目標や利益目標を設定します。
・原価
サービス事業では人員を投入する時間が労務費としてそのまま原価となることが多く、そのほかに外注費や材料費をはじめとする経費が発生します。労務費以外の費用は見積段階である程度把握できますが、労務費は見える化が難しく、これまでに経験のないプロジェクトや、仕様変更などによって大きく変化する可能性があります。どんな状況でも、正確なデータでモニタリングし、当初に設定した収支基準を維持することが重要だと言えるでしょう。そこで、原価の管理を理解するうえで大きく3つの活動に分けて考えることができます。
1. プロジェクト収支の「計画」
プロジェクトを開始するにあたって、単に予算を組むだけでは収支計画とは言えません。プロジェクトにどれくらいのリソース(人員、費用、設備など)を投資するかを考えることも必要ですが、シーンごとに発生する支出とプロジェクトのマイルストーンごとに発生する収入を計画し、プロジェクト収支を管理する必要があります。
2. プロジェクト収支の「維持」
プロジェクトは生き物のように変化し続けます。どれだけ細かくリソース管理して原価見込みを立てても計画通りに行くとは限らず、計画以上の結果になることも珍しいでしょう。そのため、当初見込と実績の乖離が大きく、異常値が発生しているプロジェクトについては早期に対策を行う必要があります。プロジェクト収支維持は、このような可能な限り基準へ近づけるための対策の積み重ねが重要だと言えるでしょう。
3. プロジェクト収支の「改善」
プロジェクト収支の維持活動のための対策が、支出を削減した高利益なプロジェクトを生むことにつながります。早急な収支改善活動を徹底できている企業では赤字プロジェクトが少なく、高収益な企業体質を生むことが可能となります。
②プロジェクト収支管理の悩み
原価管理の3つの活動を円滑に実現できればプロジェクトの成功は間違いありませんが、思い通りに進めることはとても難しく、より多くの利益を生み出す以前に、計画した収支通りにプロジェクトを着地できることも少ないのではないでしょうか。その中でも、プロジェクト収支管理における課題要素として、管理する情報が「雑化」し、正確な情報が収集できず事態の把握に時間がかかることが数多く挙げられます。細かく分析してみると、この「雑化」には3つの種類があります。
・ヒト(情報)の「雑化」
プロジェクト収支管理で必要な情報は、日々の業務のコミュニケーションや行動から生まれます。そういった情報はシステムに入力して管理する場合が多いのですが、入力方法や画面表示が分かりづらいとストレスを生み、毎日実績が入力されないなどのケースが発生します。その結果、マネージャーが一元で管理できず正確な情報を把握できなくなります。そのほか、社内フローや締めなどのルール作りも徹底されていない場合や計画変更、イレギュラーなケースが発生することもあるため、異常プロジェクトが発生しても検知が遅れ、その積み重ねが赤字プロジェクトを生み出すリスクを高めます。
・モノ(システム)の「雑化」
多くの企業では、プロジェクト収支にかかわる情報が複数の業務システムで管理されていることが多く、社内で分散された情報をまとめるのは容易ではありません。たとえば、Excelで作成した書類をワークフローシステムと会計ソフトで管理する場合、それぞれが連動していないと処理する件数が多くなり、仕訳入力などによって数字にズレが生じやすく、煩雑な管理体制になってしまいます。これにより、実績入力の鮮度が悪くなり正確な収支を把握できない可能性があります。
・お金の「雑化」
内部発注などが発生したときに稟議を通して決済をする必要があります、しかし、経理部との確認や上長への承認などで決済までに時間がかかるとプロジェクトの進行が遅れ、それが原因で急な支出が発生することもあるでしょう。
③プロジェクト収支管理のエクセル活用例と課題
システムの「雑化」にあったように、プロジェクト収支をシステムで管理する場合、ほとんどの企業はエクセルを利用し、他のシステム間で連動させる際にもエクセルデータがもとになっている場合が多いです。ここでは例として、エクセルでプロジェクト収支を管理する際に何を軸にデータを作成するかを何点か紹介します。
・予算×収支
プロジェクト単位で売上として計上された予算を項目ごとに分配し、それぞれの消化状況を追跡します。一覧にすることで、計画通りに予算が消費されているか、予算を超える場合にほかの項目から補填する余剰や必要があるかを判断しやすくなります。
・工数×収支
予算が様々な項目に割り振られると、各担当者のタスクから発生する費用を管理します。外注費や材料費、経費など、必要性や工数に応じて予算状況を常に確認しながら発注を行います。
・時間×収支
期初から計画に乖離がないか、昨年度より今年度の利益は高いのか、といった月間や年間での売上推移を把握する際に利用されます。マネージャーや役員といった役職が経営状況を把握・報告するために重要な情報でもあります。
一方で、エクセルでプロジェクト収支を管理するにあたって様々な問題を抱えています。
・入力の人的ミス
人名や数字といった項目が大量に羅列した情報を管理する際、手動入力だとミスが起こりやすく、プルダウン式の選択肢を設定しても完全にミスをなくすことができるわけはありません。
・フォーマットがずれる
人が物事を捉えるときの視点は千差万別です。データに書き起こす際も同様で、同じ内容の書類を作ろうとしても判断基準などの違いで独自のフォーマットが生まれてしまう場合も多いでしょう。情報を統合させる際もフォーマットが異なると情報量が多くなってしまい、結論が出せずにそのまま運用した蓄積が管理体制を分断させてしまいます。
・最新情報がわからない
ファイル名に日付や番号が記載されていれば問題ありませんが、編集日時だけではどれが最新の情報かわからず、人知れず情報が古いまま更新されない場合もあります。格納場所もローカルまたは共有フォルダ、フォルダの名前も認識のズレによって目的の情報を見つけられない場合もあります。
そこで、このような問題を防ぐためERP(Enterprise Resource Planning)というプロジェクト収支管理を手助けするツールがあります。日本語では主に「統合基幹業務システム」と呼ばれ、組織全体の情報を集約・一元管理して、情報の活用と最適化を図るシステムです。
しかし、ERPを導入している企業は多くなく、ほとんどがエクセルによる情報管理をしている企業は多いのではないでしょうか。その結果、エクセルを活用する際の機能や利用方法の限界によってプロジェクト収支管理を徹底しきれない状況があります。
④DX時代のプロジェクト収支管理
これらの問題を解決するものがDXです。DXとは“Digital X(Transの省略)formation”の略であり、日本では「デジタルを利用した変革」と言われています。具体的には、顧客や社会のニーズを基にクラウドやAIといった最新技術を取り入れ、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革することを指します。それによって、競争優位性の確立と、企業として安定した収益を得られるような仕組みづくりを目的とされています。
ITソリューションとしてのERPはこれまで数多く存在し、多くの企業がすでに導入されていると思います。しかし、消費者の活動意識が「モノ」から「コト」へ、「所有」から「共有」へと移り変わってきている世の中では、これまでのようなERPの導入だけで解決しきれない問題も多いのではないでしょうか。
そこで、DXによってプロジェクト収支管理を変革させた場合、プロジェクト収支管理において発生する問題に対して以下のような解決が期待されます。
・情報とフォーマットが統一される
情報のクラウド化によってあらゆる情報が一つに集約され、いつでも・どこでも共有できるようになります。さらに、UI(ユーザーインターフェース)を改善して情報を見やすくすることで、どの部署の人が見てもわかりやすく情報を管理することができるようになります。たとえば、全てのプロジェクトが月次で締め作業を行いやすくなれば、複数月におよぶプロジェクトも各月で請求書発行、外部への支払いなどが可能になり、数ヶ月先の売上・利益もより正確に予測できるようになります。さらに、複数人でのプロジェクトを行った際、プロジェクトや作業工程別の作業時間集計が可能になり、プロジェクト上での収支の振分が行えるため、各人の収支も明確化されます。このようなUX(ユーザー体験)の向上が、DXがもたらす変革の一つです。
・稟議・決済といった経理財務のフリーアドレス化
各種稟議書をデジタル化することで、印鑑による承認をはじめとする企業のワークフロー業務をクラウド化で一括管理し、どこでも行うことができるようになります。これによって書類作成者への確認や担当部署への移動といった間接業務が自動化され、経理・財務にかかるリソースが軽減し業務が効率化されます。
メールなどの通知やデータのバックアップがあれば、書類の転記や二重入力のヌケ・モレ・ミスがなくなり、プロジェクトの遅延なども解消されるでしょう。
・クラウド化によるコスト削減
既存のオンプレミスのシステムでは、導入以外に定期的なメンテナンスや機能拡張に膨大なコストがかかっていました。しかし、クラウドサービスが主流になっている現在では、自社でシステムをすべて持つ必要がなく、比較的安価な導入費と毎月のコストが発生するだけで、常に最新バージョンのシステムを使うことができます。ペーパーレス化の促進もコスト削減に適しています。
⑤プロジェクト収支管理の有料/無料ツール
これまでプロジェクト収支管理における問題を解決するためのERPは数多く存在してきましたが、以下の理由から大企業の導入が多く、システムに大きなコストをかけられない企業はExcelやAccessで管理している企業が多いのではないでしょうか。
・導入コストが高い
・システム構築が難しい
・運用変更が手間
しかし、DXによってこれらの課題が解決され、導入ハードルがとても下がりました。プロジェクト管理ツールの中で、タスクや工数管理に特化したサービスは無料のものが存在しますが、残念ながらコスト面を管理する基幹業務系ツールは現在フリーソフトや無料のサービスが存在しません。
その中でも、「プロカン」はこれまで説明してきた課題を網羅的に解決し、3アカウント5000円/月からという、圧倒的リーズナブルな料金体系で提供してくれるサービスです。「プロカン」は、「出来る限り使いやすく」「見やすい管理会計」をテーマに開発されたユーザーインターフェースで、管理会計とは思えない見やすさでプロジェクトごとの販売・購買・勤怠・経費などの各種データを集約します。そのほかに、課題解決をさらに促してくれる以下の特徴があります。
・直感的なUIで操作がカンタン
・プロジェクトの月次収支、担当ごとの収益が一目瞭然
・リモートワークに最適な請求書など各書類の電子承認が可能
・ワークフロー申請も一覧で見やすく、処理もデジタル決済でサポート
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